2011年11月09日

『一九七二』坪内祐三著、文春文庫

1958年生まれの著者が、1972年前後を戦後日本の変曲点と捉え、当時の政治、文化、風俗をそのころの出版物(新聞、雑誌、書籍など)から広範に傍証を引きつつ自身の回顧も織り交ぜながら、時代の変化を浮き彫りにするノンフィクション。

連合赤軍事件があり、札幌オリンピックがあり、ニクソンが北京を突如訪問し、田中角栄が日本列島改造論を打ち上げ首相の座についた1972年。「高度成長期の大きな文化変動は1964年に始まり、1968年をピークに、1972年に完了する」「1972年こそは、ひとつの時代の「はじまりのおわり」であり、「おわりのはじまり」でもある」と著者は語る。さらに「私は、「はじまりのおわり」である1972年以前に生まれた人となら、たぶん、歴史意識を共有出来る気がする。だが、それよりあとに生まれた人たちとは、歴史に対する断絶がある。たぶん」とまで言う。

1961年生まれで著者の3つ下である僕は、ほぼ重なる時代を生きてきたわけで、たとえば情報誌「ぴあ」に関する記述であるとか、佐藤栄作や田中角栄に対する心情であるとか、共有できるものが多く、そういう意味で、なんだかとても懐かしい思いに浸らされた本だった。ただ、どうもカタログ的に時代の時事を並べて見せているという感じで、500ページ近い分量でありながら、喰い足りないという印象も残った。

posted by kunio at 16:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 本・文学
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