「荷物を探してくださらないかしら」
「荷物というと?」
「中身については言いたくないわ。ネットで注文したものよ。マンションの宅配ボックスの2番に入れたという伝票が郵便受けにあったの」
「じゃあ宅配ボックスカードを差し込んで品物を受け取れば済む話だ」
「カードを入れても“荷物は届いていません”と表示されてしまうのよ。荷物はどこに行ってしまったのか…。力を貸していただけないかしら?」
「よろしい、引き受けよう。1日あたり100ドルと必要経費をいただく」
「ここに100ドルと、宅配ボックスカードがあるわ」
私はまず伝票に書かれた連絡先に電話をかけてみた。荷物を配達したドライバーは、間違いなく2番のボックスに入れたと断言した。彼は嘘はついていないようだ。
次にわたしは、問題の宅配ボックスのところに行った。カードを差し込むと、確かに“荷物は届いていません”と表示される。そこで、配達者が行う、荷物を入れる操作をおこない、2番のボックスを開けてみた。そこにはアマゾンのラベルの貼られた荷物があった。
中身は本かCDかDVDだろうか。私の知ったことではない。荷物を受け取った女は、2つのグラスにウイスキーを注ぎながら言った。
「このあと、お時間はあるかしら」
「荷物は見つかったが、まだわかっていないことがある」
「どうしても中身を言わせたいのね。シン・リジーのライブのDVDなの…」
「そのことじゃない。なぜ荷物が入っているのに宅配ボックスが動作しなかったのか。これを解決しなければ、また悲劇が繰り返される」
私は宅配ボックスのサービス窓口に電話をかけた。相手は若い女だった。事情を説明すると、女は慇懃に、しかし冷凍マグロのような態度で言った。「その荷物は高さが2cm以上でしょうか?」――今回の荷物は薄く、寝かして置くと高さは2cmもない。
宅配ボックスは、高さが2cm以下の荷物は認識しない仕様なのであった。私は宅配ボックスの前にとって返し、前面に貼られている大きな注意ラベルを確認した。赤地に白抜き文字で「厚さ2cm以下のもの(チラシ、封書、透明なもの等)は、入れないでください。お届け操作になりません。」と明示してある。
悲劇の原因は、注意ラベルをちゃんと読まなかった宅配業者のドライバーの不注意にある。しかし、私自身、宅配ボックスの前に立ちながらその注意ラベルに気づかなかった。いや、何か文字が書いてあることはわかっていたが、読もうとはしなかった。私はドライバーを責める気にはなれなかった。宅配業者に電話をかけ、2cm以下の荷物は持ち帰って再配達したほうがよいと忠告をした。
疲れきって家に戻ると、依頼者の女が待っていた。「あなたにはよくしていただいわ。お金ではないお礼をしたいの」そういって彼女は部屋の灯りを消した――
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※宅配ボックスに関する記述以外はフィクション(妄想)です。

ひろぽんさん、わかっていただけて嬉しいっす。
うちは宅配ボックスを利用したクリーニングサービスを利用しているのですが、
以前、同じようなことがありましたよ。
ボックスにクリーニング済みの洋服が入っているはずなのに、
「お預かりの荷物はありません」とボックスが言うのです。(音声で)
「クリーニング済みの洋服は、ボックスX番に入れました」というクリーニング業者のメモが、郵便受けに入っていたので、ブツは入っているはず。
仕方ないのでマンション管理人さんに事情を話して、開けてもらいました。
(入ってました、ちゃんと)
結局、何らかの事情でボックスがモノが入っていると認識しなかったのではと管理人さん。
そういうことがままあるということでした。
記事に入れた写真にあるように、注意ラベルにかなり目立つよう記載されているので、この手のトラブルがけっこうあるのでしょうね。